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生活環境・公衆衛生への影響
生活ごみ、し尿の処理
避難所を含めた生活ごみの収集・処理、仮設トイレ等のし尿の収集・処理は、特に初期段階の公衆衛生上の支障を防止する上で極めて重要である。
被災地の市町村では、一日も早い生活ごみやし尿の収集再開と、受入先となる処理施設の復旧に努めた。例えば仙台市では、発災の翌々日の13日には避難所等からのごみ収集を開始し、15日には生活ごみの収集を再開した。また、避難所のし尿は、発災の翌日から事業者による収集を開始した。
ごみ焼却施設は、津波による電気設備の水没などの場合を除いて、今回の地震による被害は短期間で再開可能な程度の比較的軽微な場合が多かった。しかし、停電が復旧しても、水の確保や燃料、薬剤の確保ができないために、稼動までに期間を要したケースも多く、今後の災害時の備えにおける課題と認識された。
環境省では、全都清を通じた自治体への要請に加え、パッカー車、バキュームカー、簡易トイレ等の派遣可能性を業界団体に依頼し(平成23年3月12日)、関係者からの積極的な協力を得た。
例えば、阪神・淡路大震災の経験を有する神戸市は、災害用仮設トイレ390基を平成23年3月13日から搬送し、15日午前には現地に搬入するなど、迅速な協力が行われた。
ハエ等の衛生害虫の発生、悪臭
期間が経過し、気温が上がるにつれ、未処理の災害廃棄物に起因して、ハエや蚊などの衛生害虫の発生、悪臭の問題が深刻化した。特に沿岸部では多量の水産物が腐敗し、ハエの大発生や悪臭の問題を招き、5月の連休の頃から被災者の生活が脅かされる状況となった。
このような事態を受けて、(社)日本ペストコントロール協会では、被災地での防疫活動に取り組み、平成23年5月~10月の約6ヶ月間、全国約9千人の会員の参加を得て、ハエ・蚊の駆除を実施した。
環境省では、平成23年6月に文書を出して、これらの問題に関する相談窓口(①消毒・害虫の防除:(社)日本ペストコントロール協会、②害虫の発生抑制に配慮した処理方法:(財)日本環境衛生センター、③悪臭:(公社)におい・かおり環境協会)を周知するとともに、市町村の判断により、災害廃棄物の処理事業の一環として、消臭剤・殺虫剤の噴霧等を行うことができることを併せて周知した。
このような活動により、感染症の発生その他目立った公衆衛生上の被害が生じなかったことは、関係者の努力の賜と評価される。
仮置場での火災
面積不足により高く積み上げられた災害廃棄物は、腐敗・発酵により温度が上昇し、可燃性ガスの発生と相まって、しばしば火災を引き起こした。仮置場の火災はいったん発生すると消火が難しく、周辺環境への影響も大きいことから、その防止に向けた取組が行われた。
最初の火災は平成23年5月に発生し、これを受けて環境省では、「仮置場における火災発生の防止について」関係県に通知した。しかし、その後、仮置場への搬入が急ピッチで進んだ結果、宮城県において7月に再度火災が発生し、8月~9月にかけて頻発(合計15件)したことを受けて、防止対策をより具体的に示しつつ9月に再周知を行った。
現地では、国立環境研究所の技術的な支援を受けつつ、ガス抜き管の設置や、積上高の制限、仕切りや溝の設置、消火設備の設置、監視員の配置などの火災予防対策が強化された。また、環境省では、巡回訪問等を通じて、研究者・技術者とともに、現地確認に基づく助言を積極的に行った。
これらの取組により、火災の発生件数は抑制され、最終的な3県の仮置場での火災発生は、延べ38件となった。